「ニキーチンの知育遊び」って聞いたことはありますか?
ニキーチンさん(1916~1999)は、ロシアの教育学者です。
遊びを通して、就学前の子どもたちが創造力を育むことができる「知育遊び」を提唱されました。
ニキーチンさんの知育遊びの「おもちゃ」は、家庭で手作りし「実地に使用テスト」したものばかり。
厚紙やら木材やらを材料にした、これらの「おもちゃ」の作り方は、後で紹介する「ニキーチンの知育遊び」という本に紹介されています。
ニキーチンさん考案のおもちゃたちは商品化もされていて、「ニキーチンの模様つくり」という積み木は有名なので、ご存知の方も多いんじゃないでしょうか?
この記事では、
「ニキーチンの知育遊び」の中から「点あそび」を紹介します。
カードの無料ダウンロード素材を用意しているので、よければご利用ください。
ニキーチンの「点あそび」のカードは、
0~10の11枚×4種類 合計44枚。
数の理解、足し算や表整理も、遊びながら学べる、 超おススメの知育カードです。
2歳くらいから楽しめて、低学年まで十分学べます。
点の配置が
色ごとに全て違うところが
ミソなんです
「点あそび」のカードは、
私が知ってる限り商品化されてないので、ぜひ自作にチャレンジしてみてください。
それでは、さっそく作り方です。
「ニキーチンの点あそびカード」作り方
ダウンロード素材は、以下の通りです。
- 数字 (0~10)
- ピンクのドット (0~10)
- 黄色のドット (0~10)
- 緑のドット (0~10)
全部で、A4用紙が6枚です。
ニキーチンさんが考案した「点あそび」のカードは、赤・黄・緑の色紙に黒のドット。
このダウンロード素材は、白地にピンク・黄・緑の外枠とドット、にアレンジして作りました。
プリントアウトしたら、ハサミやカッターでカットして仕上げてください。
プリントする用紙は、お好みで。
厚みのある用紙にプリントして、ラミネート加工すると長もちします。
この記事では、廃材を使った作り方を紹介していきます。
ラベル用紙にプリント
ラベル用紙にプリントして、牛乳パックに貼って作ってみました。
そこそこ厚みがあって
サイズが揃っていて
裏が白い
牛乳パックって、リメイクにぴったりなんです。
ラベル用紙を貼ってみると「もはや牛乳パックには見えない…」というくらい、しっかりしたカードができます。
シール用紙は、セリアの「光沢シール用紙A4」が、5枚も入って超お得。
何度もリピ買いするほど、個人的には気に入ってます。
たっぷり使いたい方はこちらがオススメ。
とってもコスパの良い商品ですよ。
点あそびカード
作り方のまとめ
1 ダウンロードしてからプリントする
2 ダウンロード素材を厚めの台紙に貼る
3 黒い外枠に沿って切る
枚数が多いのでやや時間はかかりますが、作業そのものは簡単です。
カッターの刃をあらかじめ折っておくと、スパッと切れるのではかどります。
11枚×4種類、合わせて44枚のカードをすべて切り終えたら、でき上がりです。
ニキーチンの点あそびカード 遊び方
さっそく使ってみたいから
今度は、遊び方、教えてよ
「ニキーチンの知育遊び」には、13の問題が載っています。
この中から抜粋して
紹介しますね
色分けする
まずは、カードの仲間分けから。
数字は数字、ピンクはピンク、黄色は黄色。
同じ種類で、カードを整理してみます。
これなら、2歳前後から遊べそうですね。
数えることができない子は、無理に順番をつけさせる必要はありません
順番に並べる(1種類)
数えることができるようになれば、順番に並べてみます。
そのときのポイントは、
「できるようになるのを、じっと待ってやる」です。
ニキーチンさんは、
”算数的雰囲気”を醸し出す、つまり、生活の中でモノを数えることをオススメされています!
ああこれが、
私たち大人にとって、
なんと難しく、根気と知恵のいることか!!!
だけど
「限られた時間内に、たくさんのことを教えこまなきゃ」
と躍起になってしまうと逆効果になりかねません。
大事なことなので、最後にもう一度。
できるようになるのを、じっと待ってやる
順番に並べる(全種類)
次に、全てのカードを、種類別に順番に並べさせます。
全てのカードを使って整理ができるようになれば、次はより早く並べることができるように…時間を測ってチャレンジしてみましょう。
全てのカードを整理するプロセスで、子どもが気づきを得ることをが大切
数の比較
点の数ではなく、「カードの枚数」を比べます。
整理して並べることで、数の差が見た目で分かりやすいですね。
10作り
「組みあわせて10になるのは?」
これを10の補数と言いますが、計算力の向上のため、とってもおススメの遊びです。
10の補数は、暗記している子も多いと思いますが、
数字が書いてないと、どうですか?
やってみるとこれ、けっこう難しいはずです。
大人の脳トレにもオススメなので、ぜひご一緒に。
数えまちがいをしないで、正確に数える工夫を
足し算
「点を全部足すと、いくつになるかな?」
つまり、足し算をします。
子ども自身が10ずつまとめて数える方法に気づくのは、親や先生の「腕」による!
とニキーチンさん。
なるほど。
大人も工夫して考えろ、ってことね。
子どもをよく見て、その子に合わせた関わり方を工夫することが大切だと、ニキーチンさんは教えてくれています。
共通点を見つける
これは、遊びに誘う大人にとって難易度が高い遊び方です。
遊びの中で子どもが発見したことに、大人が着目できているか?
ここがポイントになります。
形が同じ、色が同じ、並んでる形…
子どもが発見したことを、キャッチして関心を寄せ、発言に耳を傾けるためには、アンテナをビンビンにたててお付き合いする必要があります。
おうち遊びに取り入れるのは、なかなか難しいテーマですが、このカードを考案したニキーチンさんの深い意図が感じられる部分なので、紹介させてください。
今、重視されている
「情報整理」って観点にも
ぴったりの遊びですね
「ニキーチンの知育遊び」 おススメ商品
実は、「ニキーチンの知育遊び」は、おもちゃの作り方、遊び方だけじゃなくて、ニキーチンさんの「知育遊びの心得」が、ものすごく参考になるんです。
へえ~
例えば、どんなこと?
ちょっと抜き出して
紹介しますね
ほかの知育遊び同様、この「遊び」でも、子どもが小さければ小さいほど “遊びの雰囲気” が必要になります。大人自身が子どもの遊びに関心を示すことも必要ですし、子どもが上手くやれたときは、はっきりとそれを指摘して、ほめてやることも必要です。ときには、まったくこの「遊び」を “忘れ “させ、ふたたびもどったときは、新鮮さを感じるようにもしてやらなければなりません。
「ニキーチンの知育遊び」暮らしの手帖社より
特に、後半部分にご注目。
「やりすぎたらあかんよ」
というメッセージにお気づきでしょうか?
そして、 楽しませるための「工夫」が必要だとも…
知育に熱を入れすぎると
「やりすぎ」の罠にハマりがち…
ニキーチンさんは、もう、はっきりと、
こんなことも言っちゃってます!
しかし、子ども自身にその気があると分かるような時でないかぎり、『点あそび』をしようなどどさそってはいけません。子どもにその気がないなら1週間でも1か月でも待ち、もうまちがいなく子どもにも『点あそび』をしようという気があるとわかったところで、こうたずねてやります。
「ワーニャは、五枚の正方形をちゃんとならべられるかな」
「ニキーチンの知育遊び」暮らしの手帖社
待つ…
とにかく待つ…
やればやるほど効果あると思ってたから、
これ読まなかったら、
がんばりすぎるとこだったかも!
待っている期間には、他にすべき大切なことがあるんです。
身の回りの物を数えさせるなどの、 “数学的雰囲気” が大切だと、ニキーチンさんの説は続きます。
数学的雰囲気といわれても、なんのこっちゃ…と思うかもしれませんが、日々の生活の中でいくらでも学びの要素があるってことです。
例えば、おもちゃや絵本を数えたり、通りすぎる赤い車を数えたり。
ありあまりすぎると” 価値の低下がおきる”
「ニキーチンの知育遊び」 は、知育の遊び方なだけではなく、進め方や心得も具体的に書いてあるので、知育系のおもちゃを買うより先に、まずこの本を読んでみてほしい…というくらいおススメの内容です。
遊ばせ方、与え方、関わり方。
すごく参考になるので、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。
こちらは、ニキーチンの模様つくりという人気の積み木。
「ニキーチンの知育遊び」には、木材を使って、自分で「模様つくり」を作る方法も紹介されています。
やってみたい!という方は、チャレンジしてみてくださいね。
まとめ
「ニキーチンの知育遊び」から、点あそびの作り方と遊び方を紹介しました。
「ニキーチンの知育遊び」(暮らしの手帖社)の初版は、なんと昭和61年。1986年です。
ニキーチンさんが子育てをしていた時代から、もう何十年たったんだろう???
多分、ソビエト連邦の時代ですよ…
世の中は、すっかり様変わりしたけど、子どもの成長に合わせたニキーチンさんの教育理念は、今でも学ぶ価値があります。
そうそう、「ニキーチンの知育遊び」の訳者あとがきに、こう書いてあります。
…ニキーチンさんは、用具を手作りすることをも、「知育遊び」の大事な要素としているように思われます。
「ニキーチンの知育遊び」(暮らしの手帖社) 訳者あとがき
「親も一緒に創造を楽しんでください」
というのが、ニキーチンさんのメッセージ。
だけど、ニキーチンさん、ごめんなさい…
令和の日本のパパママは、超多忙なんです。
だから、サクッと無料ダウンロードで。
ニキーチンの「点あそび」
ぜひお楽しみくださいね。